暑い日が続いてやる気が出ない。それでも仕事や家庭に追われる毎日。体調不良を感じても暑さのせいだと考え、気合で乗り越えようとみんなが努力しています。
しかし、体調不良の原因は暑さだけではないかもしれません。体調は複数の要素が関係して決まります。自分で考えている原因とは別の理由で体調不良になっている可能性があります。
自分で気づくことが難しい原因に「自律神経の乱れ」があります。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」がバランスをとって体調管理しています。しかし自律神経のバランスは、ストレスや生活リズムの変化で乱れることがあります。自律神経が乱れると慢性的な疲れを感じたり、集中力が低下したりします。
「最近ずっと体調が悪い」という方は、自律神経のバランスを整えることで体調がよくなる可能性があります。この記事では自律神経の役割を説明し、自律神経を整える方法を7つ紹介します。「なぜか最近体調不良が続く」という方はこの記事から自律神経の仕組みを知れば、体調不良から抜け出せるでしょう。ぜひ最後まで読んでください。
交感神経は緊張時、副交感神経はリラックス時に働く
自律神経は意思とは無関係に働き、体調をよい状態に保つ神経の総称です。たとえば心拍数や筋肉の動き、空腹状態や眠気などは私たちが自分の意思でコントロールできません。自分でコントロールできない体の状態を整えているのが自律神経です。
参考:ロッテ https://medipalette.lotte.co.jp/mental/3192
交感神経と副交感神経は片方の働きが活発になり、もう片方の働きが静かになります。これが繰り返されてバランスをとります。交換神経が体や頭を動かす緊張の役割を果たすのに対し、副交感神経は休息の役割を果たします。このふたつの神経が交互に切り替わることによって活動モードと休息モードを繰り返します。
私たちは朝起きたときには副交感神経が働いており、その後少しずつ交感神経が働きだします。逆に夜寝る前には交感神経が落ち着いて副交感神経が働くようになります。
自律神経が乱れる原因
交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、自律神経が乱れてしまいます。どちらか一方の神経ばかりが働くと、バランスが崩れて様々な体調不良が起こります。
たとえば、ストレスがたまると交感神経が働き続けて副交感神経が働かなくなり、夜眠れなくなることがあります。夜型の生活に変わると、体内時計がずれてホルモンバランスが崩れます。こうして自律神経が乱れていき原因不明の体調不良になるパターンがあります。
自律神経が乱れる要因はストレスや生活習慣の乱れ以外にもあります。以下に代表的なものをまとめます。
- ストレス
- 生活習慣の乱れ
- 夜型の生活
- 仕事や人間関係などのプレッシャー
- 運動不足
- 気候、気温の変化
- 住環境や職場環境の変化
要確認|自律神経が乱れると起こる症状
引用 朝日新聞
交感神経と副交感神経のバランスが乱れることによって起こる体調不良はひとによって変わります。とくに多いのは不眠や慢性的な疲れですが、それ以外にも多くの症状があります。これは自律神経が全身に張り巡らされた神経であり、どの部位にどのような症状が現れるかが決まっていないからです。
たとえば、ストレスに強いひともいれば弱いひともいる、暑さに強いひともいれば寒さに強いひともいるといったように、体が受ける刺激には個人差があります。刺激に対する感じ方がひとによって異なるので、体に現れる影響も異なります。自律神経の乱れによる代表的な症状は以下の通りです
- 不眠
- 慢性的な疲れ
- 頭痛
- 肩こり
- 集中力の低下
- イライラ
- 動悸 息切れ
- 下痢 便秘
よく「自律神経失調症」という言葉を耳にします。自律神経失調症は自律神経のバランスが乱れることによって体調不良が起こる症状ですが、正式な病名ではありません。
なぜなら、自律神経がどの程度乱れたら自律神経失調症であるか判断する基準が存在しないからです。自律神経の乱れからくる体調不良があっても、すぐに自律神経失調症だと判断することはできません。
自律神経の乱れは、日常生活を少し変えるだけで改善する可能性があります。交感神経と副交感神経の切り替えができずに、緊張状態とリラックス状態を切り替えられない状態なので、2つの神経のバランスを整えてあげるといいでしょう。理想は下の図のように交感神経と副交感神経が交代で働く状態です。
①ストレッチをする
ストレッチには心身を落ち着かせて副交感神経の働きを活発にする効果があります。反動をつけずにゆっくりと行いましょう。息を止めずに呼吸をしながら無理のない程度に行います。東急病院の伊藤克人先生が以下のストレッチをおすすめしています。
②日光を浴びる
日光を浴びるとセロトニンが分泌されます。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質で、副交感神経から交感神経に切り替える働きがあります。夜の眠気を促す「メラトニン」というホルモンの分泌にも関わっています。
日光を浴びることは体内時計をリセットする効果もあります。夜型の生活をすると少しずつ体内時計がずれてしまい、朝起きづらくなりますが、起床後に日光を浴びることで体内時計をリセットできます。起床後にカーテンを開けて日光を浴びるといいでしょう。日光を浴びる時間は15分ほどで十分です。
③睡眠の質を高める
睡眠の乱れは自律神経の乱れと大きく関係しています。すでに述べたように、ストレスなどで夜眠れなくなると交感神経が働き続けてしまいます。日中の眠気や集中力低下につながるので、早めに睡眠習慣を整える必要があります。
就寝と起床の時間を一定にして最低でも6~7時間は眠るようにしましょう。寝る前にスマホやパソコンの画面を見ていると、ブルーライトが目から入って睡眠の質が低下します。就寝の1時間前にはスマホやパソコンの電源を切り、ブルーライトを吸収しないようにしましょう。
部屋を暗くして寝ることでスムーズに副交感神経に切り替わっていくので、やってみてください。朝起きたら、カーテンを開けて日光を浴びると夜眠くなりますよ。
④適度な運動をする
運動は交感神経の働きを活発にします。他にも血流がよくなる、気分が晴れやかになる、ストレスが発散するといった効果があります。「運動というとハードルが高そう」と思われるかもしれませんが、ハードな運動をする必要はありません。散歩やヨガなどの軽めの運動で十分です。
運動にも日光を浴びることと同様に、セロトニンの分泌効果があります。起床後に15分ほどの散歩をすることは自律神経を整える効果以外にも、生活習慣の乱れを修正できるので一石二鳥です。
⑤食生活を見直す
毎日の食事から摂る栄養は自律神経のバランスに大きな影響があります。栄養が偏ると慢性的な疲れや集中力の低下を招きます。さらに疲労回復が遅くなるので気分が落ち込むことも。とくに不足しがちなのは「ビタミン」「ミネラル」です。外食やインスタント食品が多くなるとビタミン、ミネラルが不足して栄養バランスが乱れてしまいます。自炊の頻度を増やして野菜を積極に取りましょう。
朝食を抜く習慣がある人は要注意です。朝食を抜くと栄養不足で頭がぼーっとします。1日3食を規則正しく摂ってビタミンとミネラルが不足しないよう意識しましょう。
セロトニンは体内で合成できないため、食べ物から生成する必要があります。必要な栄養素は「トリプトファン」「ビタミンB6」「炭水化物」です。それぞれ次の食品に多く含まれています。
- トリプトファン・・・・・乳製品 大豆製品
- ビタミンB6・・・・・カツオ、マグロなどの魚類 レバー 肉類
- 炭水化物・・・・・・お米やコーンフレークなどの穀物類
他にも、イワシにはトリプトファンとビタミンB6の両方が含まれています。またバナナには3種類の栄養素がすべて含まれています。積極的に摂りましょう。
⑥呼吸を整える
呼吸は私たちが無意識に行っている活動で自律神経と大きく関係します。順天堂大学の小林弘幸先生は呼吸と自律神経について次のように説明しています。おすすめの呼吸法も紹介していますので参考にしてください。
「自分の意思でコントロールできないのが自律神経ですが、唯一の例外が呼吸です。深くゆっくり呼吸することで副交感神経の活動を高め、逆に速く浅い呼吸は交感神経を優位にします。ですから、心身をリラックスさせ、血流を促進するには、ゆっくり深い呼吸で副交感神経を高めるのが良いわけです」(小林先生)
「慌てているときには深呼吸をしよう」と聞くことがあります。深くゆっくり呼吸することは副交感神経を優位にしてリラックス効果が期待できると覚えておきましょう。
⑦お風呂に入る
ぬるめの湯船(36~40℃)につかることで副交感神経が優位になり、リラックス効果があります。睡眠の質が良くなり、生活習慣の改善効果も。いつもシャワーで済ませているひとは湯船にもつかるようにしましょう。逆に熱い湯船につかると交感神経が優位になりますので注意してください。
自律神経の説明と乱れる原因、症状、そして自律神経を整える方法を7つ紹介してきました。季節の変わり目や環境の変化があると、原因不明の体調不良が起こった経験は誰でもあるはず。
自律神経は自分の意思でコントロールできないので、知らないあいだに乱れてしまい体調不良につながることがあります。また症状が長期化しやすくつらい期間が続きます。日常生活に悪影響を及ぼすので体調不良のときは自律神経の乱れを疑ってみてください。
この記事で紹介した自律神経を整える7つの習慣は、今日から簡単にできる方法です。「最近調子の悪い日が続く」と感じたときは7つの習慣を思い出して、どれかひとつでもいいので実践してみてください。活力のある生活を取り戻せるはずです
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